第七十六段
世間から威勢がよいと思われている人の身辺に弔事も慶事もあったりして、人々が多く訪れる中に修行僧が混じって、案内を申し込んで門口にぽつんと立ち尽くすその姿を見ると、何も僧侶がそんなことをしなくても、と思わずにはいられません。
訪問したからには何か理由があるのかもしれませんが、それでもやはり僧は人と深く交わらない方がよいでしょう。
第七十七段
人々の評判になっている話題について、そんなことにかかわるべきではない人が内部の事情を知って、人に話してまわったり尋ね回ったりするのはどこか納得のいかないものがあります。特に片田舎に住んでいる修行僧ほどまるで自分のことのように尋ねて歩き、どうしてこんなに詳しいのかと首をひねるくらいに散々言いふらして歩くのです。
〜☆〜★〜☆〜★〜☆〜
俗世との関わりを断って出家したはずの坊さんが…という話ですね。
七十八・七十九段まで同種の話が続きます。