のりりんの京都日和

京都府在住ののりりんの徒然ブログ

城とうどんと巡礼の国・その3

大浴場に入れる時間に合わせてきょうも早起き♪
朝風呂はやっぱイイ☆
今回の宿も食事なしの素泊まりですが、こんぴらさんの門前に朝からうどんを食べられるところはあるのかな?
一説にはうどん発祥の地はこのこんぴらさんという話もあるので、うどん県最後のうどんはこんぴらさんの門前で食べたい☆
調べると8時から開いてるお店があるらしいのでそこで朝食にしようかな?
で、こんぴらさんを参拝した後、丸亀に戻って会社の同僚から教えてもらった骨付鶏のお店で昼食をとって帰ろう。
そんな計画を立てて、いざこんぴらさん

こんぴらさんについては正直あまり詳しく知りません。
きのうまでの香川旅行と今までの神社仏閣参拝の経験で崇徳院と深くかかわりがあることだけはわかります。
京都にも安井金比羅宮があって、域内に崇徳院の廟所があります。
いくさに敗れて流刑となり、この地で魔王と化した崇徳院
日本という国をまるごと、王朝社会から武家社会へと変貌させたと信じられた日本最大の怨霊神。
こんぴらさんの不思議な「金」の文字に似た紋も京都でもよくみかけますが、何か謎めいた呪文のようにも思えてきます。
明治天皇の懇願で京都に戻り、分祀されて縁切り縁結びの社にもおられる。
京都だけでなく各地に分社があるこんぴらさんとはいったいどんな社なのでしょう。
はじめての参拝、ワクワクです♪
まずは門前町の散策から。
こんぴらさんは正式には金刀比羅宮
門前町が広く、古くから尊崇を受けてたくさんの参拝客が訪れてきたことがわかります。
高松城で撮ったことでん高松琴平電気鉄道)も地元住民だけでなく港からこんぴらさんを訪れる参拝客を運ぶための鉄道という側面も強いと思います。
こんぴらさん最寄りの琴平駅のすぐそこに大きな鳥居と高灯篭があってそれら参拝客を迎えます。
朝一番のいい風情です♪
で、おめあてのうどん屋は…開いてない(ーー;)
どうやら朝8時からオープンするのは土日だけのよう。
一応非常食としてコンビニでパンを買っておいて、早朝起きてすぐに食べてるので別にいいんですけど、最初に建てた計画がいきなりパー(^^;)
ま、いっかw。

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琴平駅と鳥居
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こんぴらさん門前町

さらに進むと石段。
本宮まで785段の石段を上ることになります(^^;)
途中不思議な斜めに傾いた細長い建物が。
備後国因之島浦々講中の寄進により船の下梁を利用して建てられたという灯明堂
夜間参拝する人のための釣灯篭がつるされています。
横を歩いてると平衡感覚がおかしくなる(@_@)

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灯明堂

ずんずん上って行ったら巨大な大門(おおもん)がそびえます。
脇にはお城の櫓のような鼓楼
ここまででまだ本宮までの半分も来てないって…(^^;)

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大門
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鼓楼

大門をくぐると一直線の参道。
桜の樹々が立ち並びますがいまは秋。
桜が咲くころに通るとさぞや美しいんでしょうね~☆
さらに進むとかわいいわんこの銅像が。
江戸時代に犬が飼い主の代わりにこんぴらさんをお参りする風習があり「こんぴら狗」と呼ばれたそうです。
その名残で今もペットのわんこ同伴の参拝OKだそうです。
さらに進むと社務所も兼ねた書院
唐破風が華麗な建物で、円山応挙の襖絵などがあるそうですが、現在は拝観できないとのこと。残念(^^;)

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書院(社務所

さらに進むと巨大な旭社
もともとこんぴらさん金刀比羅大権現というお寺だったそうで、ここが金堂だったそうです。
…が、参拝道が仕切られていて帰り道でしか間近にみられないみたいなので、またあとで。
賢木門という唐門をくぐって進むと本殿前の四段坂。
脇には遥拝所や末社がたくさん。
スサノオにオオドシヌシ、コトシロヌシと、名だたる神さま勢ぞろいです…が、そういや今は神無月(旧暦)、みんな出雲に行ってるからお留守でしょうかw。
…ん?事代主?
出雲大社大国主の長男、関西風に言うとえべっさんですね。
有名な神さまがこんなところにw。
そして石段を上りきると、おお☆
荘厳、華麗、そして大きな社がど~んと目の前に。
金刀比羅宮本宮到着!
向かって右手の展望台からは下界を一望する絶景。
ここまで上がってきたんですね~w。

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金刀比羅宮本宮
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本宮横の展望台からの眺め

マスクをつけながら石段を上ってきて息も上がっちゃって、休憩がてら本宮を参拝。
で、こんぴらさんとはなにものぞや?と思って立て札をみると。
ご祭神 大物主神(=大国主神)」!?
ええええええ!?
無知というのはやはり罪なことです。
ここに至るまで知らなかったとは何とも恥じ入るばかりです。
出雲大社が大好きでに何度も参拝してて、去年の秋にも参拝してて。
国譲りというエピソードを神話から歴史へと移り変わるはざまの物語と考えて、日本という国の歴史と信仰に深く影響を及ぼしたと思い続けてきた大国さま。
その大国さまがこんぴらさんだったということをココこの場で知りました。
こんぴらさんのご祭神、少しでも事前に調べてたら容易にわかったであろうことなのに(^^;)
だから本宮手前の石段に大国主の舅さまのスサノオと子どもの事代主の社があったんですね☆
そしてなんと「崇徳院を合祀」とあります。
大国主崇徳院はここで同居されているということですか!?
ボクが個人的に日本の信仰において最も重要と思ってきた2人(?)はここで一緒になっている。
(一方は神さま、もう一方は実在の人物なので「2人」と言っていいものなのかどうかw)
これはもうおろかなボクに対する神さまのお導きとしか思えないほどの衝撃。
去年の出雲大社参拝から信州・諏訪大社参拝、そして今回のうどん県探訪とこんぴらさん参拝。
これらが自分のライフワークともいうべき歴史探訪と合わせてすべてつながった、いや神さまに導かれてつないでもらったという気がした瞬間でした。
もう何と言っていいのか、知ってびっくりこんぴらさんなのです(^▽^;)

そんな衝撃を受けた本宮参拝ですが、まだ先があります。
ここまで導かれて奥宮を参拝しないわけにはいかない。
本宮展望台の脇からさらに進んでいくと、常盤神社
ご祭神はタケミカヅチ
大国主の次子・タケミナカタを諏訪に追いやったおっそろしい神さま。
奈良・春日大社のご祭神でもあります。
さらに進むと朱塗りの白峰神社
前日に参拝した白峯寺崇徳院の御陵が明治に至ってここに分祀されて、さらにここから分祀されて京都の白峯神宮が造営されたようです。
京都ともつながった☆

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白峰神社

さらに進むと菅原神社、天神さまですね。
日本三大怨霊といわれるうちの2つ、崇徳院菅原道真公の両方があるって…
その手前におっそろしいタケミカヅチ、そして大国主
なんてことを考えながら、最奥の厳魂神社(いづたまじんじゃ)に到着。
一番下から本宮まで785段、奥社まで合わせて1368段、上りきりました~☆
本宮の展望台よりさらに高い位置から下界を一望、これまた絶景です♪

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厳魂神社
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さらに高みから俯瞰

厳魂神社のご祭神は厳魂彦命という神さまですが、比較的最近の人(?)です。
戦国時代に生駒家の家臣の子に生まれ、高野山で修業したのちこんぴらさんの主となりましたが、慶長18年に「死して永く当山を守護せん」と言い残して、天狗になって姿を消したと伝えられます。
秀吉の家臣として高松を治めていた生駒氏は厳魂彦命が姿を消す1年ほど前に生駒騒動によって改易され、高松は幕府直轄となり、水戸徳川家松平頼重が藩主となりました。
生駒の関係者としてはさぞ無念であったことでしょう。
こんぴらさんの最奥で社を守護する天狗さま。
同じく天狗になったという崇徳院
オマケといっては失礼ですが、加えて大宰府に流されて天神さまになった菅原道真公。
三者ともその時々の人々がタタリをなすかもしれないと畏れた怨霊神。
それら怨霊神を冥界の王たる大国主と武勇の神さまであるタケミカヅチが封じ込めているのが金刀比羅宮の本宮から奥社の社の並びなのでは?
2人の天狗が山上から下界を睥睨するかのように岸壁の上に2つの天狗の面が。
天狗さまには今の下界はどのように映っていることでしょう。

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岸壁に天狗と烏天狗

そんなことを考えていると、またわんこに出くわしました。
中学生くらいの少年と、そのお母さんが連れています。
地元の人らしくお子さんが受験なので菅原神社に参拝しに来たそうです。
こんぴらさんにもおくわしいようで、奥社からの帰り道にしばらくご一緒していろいろ教えていただきました。
タタリ神でも手厚く祈りを捧げれば和魂になるということで、厳魂神社に対して本宮ととなりの大国主の奥さんの社である三穂津姫の間に睦魂神社という社があるので忘れず参拝するようご説明を受けました。
それは忘れてはいけませんね☆
本宮に戻って、本宮と三穂津姫社をつなぐ回廊の裏手にひっそりと睦魂神社がありました。
三穂津姫神社に祀られる三穂津姫高御産巣日神タカミムスビノカミ)の娘で、大国主が冥界に下った後、大国主の現世への未練を断つために嫁入りさせたといいます。
三穂津姫=美保つ姫で、島根・美保関の美保神社大国主の子・事代主(えべっさん)とともに祀られています。
またひとつつながった☆

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睦魂神社
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三穂津姫

最後に後回しになっていた旭社。
何とも巨大で荘厳、そして建物いっぱいに装飾があって華麗です。
…本宮や三穂津姫社もそうだけど、もう国宝でもいいんじゃね?
神仏分離以前、お寺だった時の金堂であり薬師如来十二神将金毘羅大権現として鎮座していたそうですが、現在は摂社として天御中主神高皇産霊神神皇産霊神を祀っています。
本宮を参拝した後に参拝する習わしがあるそうで、そのために規制が敷かれているみたいですね。
なぜそんな習わしがあるんでしょうね?
いろいろわかった金刀比羅宮ですが、まだまだナゾも多いですw。

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旭社
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旭社・その2

下界に降りてきたらもうハラぺこw。
朝行きたかったけど行けなかった老舗店「こんぴらうどん(参道店)」で「天ざるうどん」でおなかいっぱい♪
会社の同僚に薦めてもらった丸亀市内にある骨付鶏の「一鶴」はまたうどん県に来た時までおあずけ(^^;)

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天ざるうどん@こんぴらうどん(参道店)

さあ、帰ろう♪
いい夕焼けが撮れてないので夕暮れ時まで待ちたい気分もありましたが、さすがに翌日は早起きして日勤で出勤しないといけません。
名残り惜しさはあるものの、いろんなことを知ることができて大満足です☆
予定では瀬戸大橋を渡るだけ渡ったらあとは地道で京都まで走って行くつもり。
途中、瀬戸大橋の真ん中にある与島PAに寄ってお土産を物色しつつ、最後に一度もみてなかった日中の青い瀬戸内海を眺めました。

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瀬戸大橋、与島PA
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瀬戸内海

で、PAを出たとたんにすぐトイレに行きたくなっちゃってまた次のSAに立ち寄ってたら、もう下道で走るのが面倒になっちゃって、そのまま高速道路をウチの最寄りまで走って帰宅しちゃいました。
帰宅したのは夕方17時ごろ。
これ以上遅くなったら日常生活に支障をきたすと思うギリギリでしたね~(^^;)

本当に本当に、楽しいうどん県旅行でした♪
去年以来の旅行がなぜか全部つながっていく奇遇に快感すら覚える縁を感じました。
お城もみごとで讃州・香川のことが一気に好きになりました。
これまで参拝した神社の中では出雲大社が一番好きだったんですが、それに勝るとも劣らない魅力を金刀比羅宮に感じました。
瀬戸内海の景色も十分楽しめましたが、心残りはやはりいい夕陽に出会えなかったこと。
ほかにもいろいろ忘れ物をしてきた気もします。
人生の残りの時間でもう一度来られるかどうかと思うところもありますが、ぜひまたうどん県を訪れたい。
そう思うのでした☆