上賀茂神社の摂社である岩本社、橋本社は、それぞれ歌人の在原業平と藤原実方を奉っています。参拝者がいつもご祭神を混同して言い間違えるので、ある年お参りした際に、年老いた神主が通り過ぎようとするところを呼び止めてこれを尋ねたところ、「実方さまの御霊はその影が御手洗川にうつる場所におられるといいます。橋本社の方が水に近い場所にありますので、こちらが実方様を祀っている社でございましょう。一方、歌人でありました吉水の和尚が、
月をめで 花をながめし いにしえの やさしき人は ここにありはら
(月を愛で、花を眺めて味わったいにしえのの風流人・在原業平はここに神として祀られている)
とお詠みになりましたから、こちらは岩本社のことを指しているのでしょうが、さて、私などよりもあなた様の方がよくご承知のこともございましょう」と、たいへん丁寧な返事をしてくれて、とてもありがたく感じました。
ところで、今出川院に仕えた近衛で、勅撰集などに数多くその歌が選ばれている方は、若い頃、常に百首を詠んではこの二つの社の前を流れる御手洗川の水を使って書き記し、社に奉納なさったといいます。この方はその才能を広くたたえられ、今でもその歌は人々に詠われます。漢詩とその序文など、幅広い分野で素晴らしい文章を書く人でありました。
※「吉水の和尚」=天台座主で歌人の慈円僧正。
「今出川院に仕えた…」=鷹司伊平の娘。今出川院は亀山天皇の中宮・嬉子のことで、近衛は女官の役職名。
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上賀茂神社には何度も参拝していますが、残念ながらこの「岩本社」「橋本社」というのがどこにあるのか知りません(^^;)
何度も行ってるので建造物、摂社を改めてじっくりみるという部分がおろそかになっているのかもしれません。
最近は葵祭とか笠懸神事とか、たいがい祭事で境内に入ることが多いですからね〜。
今度行くときは改めて境内をじっくりみようと思います☆