のりりんの京都日和

京都府在住ののりりんの徒然ブログ

よいこの徒然草・第二十七段

新しいみかどが即位する儀式が行われ、三種の神器が譲り渡される瞬間は、強い不安に襲われてしまいます。
退位して新院になる花園上皇が、その春に詠んだ歌。

 誰彼も 他人になった 春の日は 掃除のなき庭 花の絨毯
(主殿寮の役人は皆、新帝のもとに移ってしまったようだ。手入れをする者もない庭に花が咲き乱れている。)

みんな、新しいみかどにつきっきりで、上皇のところに遊びに行く人もいないのでしょう。やはりものさびしげです。こんなときに人というのは本性を出してしまうものなのでしょうね。


※「三種の神器」=天叢雲剣草薙剣)、八尺瓊勾玉八咫鏡天皇践祚に際し、この神器の内、鏡と剣の形代及び勾玉を所持することが皇室の正統たる帝として皇位継承の際に代々伝えられている。但し過去には後鳥羽天皇など神器がない状態で即位した場合もあり、必ずしも即位の絶対条件ではなかった場合もある。
現在では八咫鏡伊勢の神宮皇大神宮に、天叢雲剣熱田神宮に神体として奉斎され、八尺瓊勾玉は皇居の御所に安置されているとされている。
また皇居には、八咫鏡天叢雲剣の形代があり、八咫鏡の形代は宮中三殿賢所に、天叢雲剣の形代は八尺瓊勾玉とともに御所の剣璽の間に安置されているとされる。(ウィキペディアより)

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花園天皇といいますと、後醍醐天皇の先代の天皇陛下ですね。
後醍醐天皇三種の神器というと、南北朝並立を引き起こした事件を思い浮かべます。
すなわち、楠木正成湊川で破った足利尊氏が京に入ったときに、和睦の条件として後醍醐帝が三種の神器を渡して光明天皇が即位したものの、それが偽物であるとして吉野に朝廷を開いたという一件。

ちょうど兼好法師の時代の出来事であることから、この段はこの件を踏まえてのものかもしれません。